心理学における学習曲線とは?勉強を進める上でのポイントを徹底解説!
インターネットや本などで「学習曲線」という言葉を目にしたことはありませんか?
学習曲線とは、ヘルマン・エビングハウス氏によって提唱された概念です。
学習段階をグラフ化したものであり、成長しやすい時期と成長しにくい時期が分かるようになっています。
この学習曲線について理解を深めることで、自分の勉強に活かせるかもしれません。
今回の記事では、心理学における学習曲線、ヘルマン・エビングハウスについて、学習曲線の3つのステージ、学習曲線におけるステージごとの勉強のコツ、学習を進める上で重要なポイントについて紹介します。
心理学における学習曲線とは
「学習曲線」という言葉を目にしたことはありませんか?
この学習曲線(Learning curve:ラーニング・カーブ)とは、ドイツの心理学者であるHermann Ebbinghaus(ヘルマン・エビングハウス)氏によって1885年に提唱された概念です。
簡単に説明すると、学習曲線とは「学習した時間と習熟度の関係をグラフ化したもの」を意味します。
基本的に横軸は「試行回数」や「時間経過」、縦軸は「達成度」で構成されます。
このグラフによれば、学習能力は勉強した分に比例するのではなく、緩やかな波を描きながら伸びていくことが分かります。
つまり、学習曲線とは、「成長を実感する時期」と「成長を感じづらい時期」を繰り返しながら、学習能力が伸びていく過程を表したものなのです。
ちなみに、この学習曲線は「ピロリとアンダーソンの式」と呼ばれる数式で表すことができます。
参考:勉強に生かせるインプットはどうすればいい?良質なインプットのための方法を解説
ヘルマン・エビングハウスってどんな人?
学習曲線を提唱したヘルマン・エビングハウス氏について、少し確認しておきましょう。
エビングハウス氏は1850年にプロイセン王国で誕生しました。
ボン大学に入学した後、哲学に興味をもち、博士号まで取得しました。
その後、心理学に興味を持つようになり、心理実験研究所を設立し、記憶研究をスタートしました。
忘却曲線や学習曲線などを発見し、学習と忘却の研究において大きな影響を与えました。
学習曲線の3つのステージ
学習曲線は大きく、以下の3つのステージに分けられます。
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学習した内容は、この3つのステージを繰り返しながら定着していきます。
それぞれのステージについて以下で確認していきましょう。
1.準備期
準備期とは、学習の初期段階のことです。
主に基礎となる知識を吸収します。
進度は悪い訳ではないですが、勉強時間に対して成果が出にくい時期なので、時間をかける必要があります。
準備期においては、成果を実感できなくても継続して学習を続けることが大切です。
2.発展期
発展期とは、身につけた知識をもとに、実力が急激に伸びる段階のことです。
効率的に勉強を進められるので、学習へのモチベーションも維持しやすくなります。
3.高原期
高原期(プラトー)とは、成長が滞ってしまう段階のことです。
学力が急激に伸びていた発展期と比較すると、成長度合いが一気に低下するので、モチベーションが下がりやすくなります。
この高原期は学習を進めていくにつれて、短くなっていきます。
言い換えると、長期的に勉強を続けることで、成長を感じられない期間が短くなり、成果が現れやすくなるのです。
学習曲線におけるステージごとの勉強のコツ
ここでは、学習曲線におけるステージごとの勉強のコツを紹介します。
準備期における勉強のコツ
準備期は基礎を固める時期です。
勉強時間に対して成果が出にくいため、焦らずに学習を進める必要があります。
成績が伸びないからといって、闇雲に勉強したり、無理したりするのではなく、ゆっくりと着実に基礎作りを行うことが大切です。
点数にこだわりすぎず、基礎を疎かにしないように注意しましょう。
発展期における勉強のコツ
発展期は、急激に実力が伸びるフェーズです。
成果が出やすいので、テストや模試などを受けてモチベーションを上げると良いでしょう。
ただ、成果が一度出てしまうと勉強をやめてしまう人もいるので、この後に高原期に入ることを理解した上で、勉強を継続することが重要です。
さらに、実力が大きく伸びる時期なので、目標を新しく設定することをおすすめします。
高原期における勉強のコツ
高原期では成長が滞ってしまうため、モチベーションをどのように保つかが重要になります。
目標達成後のイメージをしたり、毎日の学習時間を決めたりして、勉強をストップしない仕組みづくりを行うことをおすすめします。
勉強を続けていれば、再び実力が伸びやすい発展期に入るので、成績が伸びるまで継続することを心がけましょう。
学習を進める上で重要なポイント
ここでは、学習を進める上で重要なポイントを紹介します。
目標を設定する
まず最初に目標を設定するようにしましょう。
目標はスケジュールを立てる上で欠かせないだけでなく、モチベーションを維持しにくくなります。
例えば、「模試で7割を取る」「次のテストの全科目で80点以上を目指す」など、具体的な数値とあわせて目標を設定することをおすすめします。
「テストで良い点を取る」といったように目標が曖昧なままだと、どれくらい勉強をするべきか、いつまでに何をやるべきかなどをイメージすることができません。
スケジュールを立てる
学習を効率的に進めるには、スケジュールを立てることが大切です。
計画を立てずに闇雲に勉強に取り組んでも、勉強は定着しにくくなります。
例えば、問題集を解く場合でも、「1ヶ月で問題集を終わらせる」「1日〇ページずつ進める」など、具体的にスケジュールを組むのがポイントです。
長期的なスケジュールに加えて、1日や1週間など、短期的なスケジュールも併せて立てることをおすすめします。
そうすることで現在やるべきタスクが明確化され、モチベーションを保ちやすくなるのです。
勉強を習慣づける
学習を伸ばすためには、勉強を習慣づけることが求められます。
学習曲線から分かるように、私たちは「成長する時期」と「成長しにくい時期」のプロセスを通じて実力を伸ばしていきます。
途中で継続しないで辞めてしまうと、学習したことは定着せず、実力が落ちてしまいます。
そのため、「毎日2時間勉強する時間を設ける」などして、勉強を習慣化することが重要です。
学習曲線を意識する
学習曲線を意識するだけでも、勉強へのモチベーションを保ちやすくなるでしょう。
成長しにくい時期である「高原期」の存在を知らないと、実力が思うように伸びず、フラストレーションが溜まりやすくなります。
しかし、「高原期」の存在をあらかじめ知っておけば、成長しない時期も乗り越えやすくなるのです。
さらに、「準備期」は基礎作りが重要な時期ということを知っておけば、基礎を重点的に勉強することができます。
忘却曲線も意識する
学習曲線だけでなく、忘却曲線も意識すると良いでしょう。
忘却曲線とは、同じくヘルマン・エビングハウスが提唱した概念です。
例えば、暗記した20分後には42%、1時間後には56%を忘れてしまうといった、時間と忘却の関係性を明らかにしました。
この論理を活かして、忘却しやすいタイミングで復習するようにすれば、記憶を長期的に保てるようになります。
復習すればするほど記憶は定着しやすくなるので、繰り返し学習が重要です。
学習曲線を理解しよう
今回の記事では、心理学における学習曲線、ヘルマン・エビングハウスについて、学習曲線の3つのステージ、学習曲線におけるステージごとの勉強のコツ、学習を進める上で重要なポイントについて紹介しました。
学習曲線を理解しておくことで、成長しやすい時期と成長しにくい時期が把握できるようになり、勉強へのモチベーションを下げずに継続することができます。
効率的に勉強を進めるには、目標やスケジュールを立てたり、勉強を習慣づけたりすることが大切です。
自分に合った勉強方法を見つけて、効率的な学習を目指しましょう。